空白

あなたがいない世界」公演を終えて数日が経った。

本番一週間ほど前あたりから、時間が経過する速度はここ数年で一番早く感じられたかも知れない。それは、カンパニー公演に11年ぶりに私自身が出演することに理由があるのか、それとも岡山から東京に戻ったことで、未だに都市の時間のスピードに着いて行けずにいるのか、あるいはただ歳をとっただけなのか、その理由は分からない。
何にせよ数日の間、体感としての一日は、数時間程度にしか感じられなかった。

そして、公演を終えた翌日から、その時間経過のスピードは少しずつ緩慢なものとなり、3日経った今朝あたりからは、体感時間と現実時間の差はほぼなくなったと言っていい。

その3日間は、次に向かう為の準備期間として、必要なものなのかも知れない。
3日間という、空白的な、時間。

新作の公演を終え、既にご存知のお方も多いとは思うけれど、1999年の結成当初より活動を共にしてきた今津雅晴が、今作をもって最後の出演となった。
「あなたがいない世界」という作品以前まで、ダンサーとしてそこ(カンパニーの舞台)にいた今津雅晴が、その作品以降は、そこにいない。不在の作品の完成が、新たな不在を生んだとも言える。が、彼自身の決断とその言葉には、私を説得させるだけの力と重さがあった。そしてそれはとても自然なことのように思えた。
説明するのはなかなかにして難しいのだけど、単純に方法論や関わり方といった表層部分が変化するだけで、根底部分の共有は変わらず、ある意味においては一つの目的に向かい続けるのだと言える。
このような視点と思考は、カンパニー独自のものとも言えるのかも知れない。

この場を借りて今津雅晴氏に伝えたい。

20年ありがとう。お疲れ様。

とは言え、やはり、心にぽっかりと穴は空くのです。
その空白は、一つの存在として、ずっとそこに、あり(続け)ます。

さて、
不在は、一旦ここで終わる。
ここから先は、存在に向かう。

途方途轍もなく、物質的な、からだへ。