道具

動くからだを見ている。
指先と瞬きと眼差しと頷き。

からだは時に雄弁に語りもするが、時には寡黙にその身を閉ざす。
閉ざされたからだは中心から末端への内圧が高まり、小さく震えている。
内圧が外圧を超えて、その圧力が外に抜けてしまう頃、からだは末端からゆっくりと語り出すだろう。
言語を獲得し始めた子供のように。
やがて、その言葉は力を帯びて、他者のからだに浸透する。
雄弁に、時に寡黙に。

からだによるそのような行為は繰り返される。
幾度も、幾度も。ずっと。

語るのはからだ。浸透するのもからだ。
それ自体が、私たちの根源的な道具である以上、からだとからだの隙間には、いかなる道具も必要とされない。

同時に、感覚はからだから切り離されるべきではない。