あぶすとらくと

 踊るということは、言葉を突き放すことで言葉と一体となることである。一個の身体の境界を超えながら動かされることで動かす、あるいは動かすことで動かされるということでもある。時空から抽象性を削り出し、感情や思考、意味性をも超えた世界に共存する。そのための時限感覚装置として踊りはある。
 正しい踊りもなければ、間違った踊りもない。決して否定されるものではないが、だからと言って肯定を求めるべきものでもない。身体に向かうこと以外に、為す術もない。

 地球という巨大な生き物から、抽象の原石を削りだす。
 
 
 
 
 もっと、もっと、抽象に向かい、その極みに憔悴する喜びを得るためである。