コーラと鉛

 何かを書こうと思う。2017年の春。
 
 まずは、2月25日26日に行われたM-laboratoryの再始動公演「Moratorium end」。
 ご来場いただいた全ての皆さま、公演に関わってくれたメンバー、スタッフの皆さまに心から感謝しております。
 舞台に携わる仕事を始めて25年以上が経ちますが、多くの意味においてあの公演はこれまでにないものを私自身にもたらしてくれたと思います。そして、作品そのものが私の鏡であること、同時にそれは、創作を共にしてくれるメンバーそれぞれが私の鏡となってくれているのだと、強く感じるものとなりました。私自身、これからの創作に向けて、一つ一つ省みながら次に向かおうと思っています。
 それが、全てであり、それが真実だったのだと。そんな再始動の公演となりました。
 重ねて、メンバーの皆に感謝したいと思います。
 
 実際「Moratorium end」という作品は私にとって、非常に重い鉛のようなものを飲み込ませたように思います。公演終了から、身体の中に残されたその重い鉛の存在に慣れるまでに結構な時間がかかり、気がつけば春、桜満開の季節となっていました。まだまだその存在に違和感を覚えながらも、多少は身体に馴染んできたようです。時間が、幾らかは癒してくれるのだ。
 時間は、時として私を無慈悲に突き放しますが、時には静かに寄り添ってきてくれるものでもある。それほど悪いやつではないようです。
 
 そんなこんなで、鉛を飲み込んだ新しい身体とともに次に向かうべく。人生の下半期とも言うべきこれから先は、余分な力を抜いていこうと思う。
 
 例えるなら、コーラでも飲みながら、錆びた弦を爪弾くように。