価値観の値打ち

 東京にて。
 
 神楽坂でCORVUS「親愛なるアルトーさんへ」を観了し、ホテルにチェックイン。
 今日という日は、彼の国において二つの巨大な建造物が崩落してから、15年目にあたる。
 また、今日という日は、この国において二人の長身の男が、その身体思想を持って構造的に立ち上がった日にもあたる。
 これは、私の戯言である。
 立ち上がった先に見えるものは、バベルの塔さながら、その骨に余りある美肉と言語を備えつつ、神の域までも昇りつめて、絶対的な屈辱に打ちのめされてもなお、自らの骨をおっ立てること。さらには、自らの生において、貫けるか。どうか。
 
 岡山から東京へ、一つの舞台作品を目当てにやってくることは、やぶさかではない。
 観劇料が3000円、往復交通、滞在足せば、優に30000円を上回るあたり。。。しかしながら、それでも満足できるものに出会えた時は、どこかのご近所さんよりは遥かに文化的収穫量は高い。
 
 重要なのは値段ではなく、値打ちだ。
 文化的、あるいは芸術的価値の高いものに、値段は必要ない。
 
 よって、嫌いな東京の街を、鼻歌交じりに歩く。
 
 
 
 
 
 また、新たな価値観を提示している作品は、もっと多くの場所で公開されるべきである。
 ご近所さんの特権ではないはずだ。