声は消えて、言葉が生まれる

 蝉の声が消えた。
 いくつかの台風がやって来て去って行って、早朝の空気は秋の気配を少しずつ増している。長い長いトンネルのような夏休みも終わり、歩道には制服を着た学生達が戻って来た。9月1日。
 半袖のシャツでくっきりと日焼けした両腕も、だんだんとその境目をぼかしつつある。淡く溶けていくみたいに。身体の深淵にある鐘の震えも、さらなる深みに落ちて行くように、その輪郭を曖昧にして。やがて消える。
 さて、10月「世界は下らない会話で満ちている」東京公演に向けてのリハーサルが始まるな。今回は女性のデュオ作品となります。ダンサーは東京と岡山から一人ずつ。遠距離で手紙を書いてやりとりするように、作品を作っていければな、と思う。音楽は「停止。」公演でも楽曲をお願いした宮内康乃さん。今回は言葉を音として捉えてみる。そして、音の心を味わうように。。。
 またまた、飽く事なく、新たな創作方法を求めて、ただ、創るのみ。なり。