旅について

 7月に行われるからだアトリエの習作に取りかかり始めた。今回の作品の根底に流れているものは「旅」。
 
 これまで、どれだけ多くの作家が旅について語って来ただろう。有名無名を含めるとそれはもう天文学的な数字になるに違いない。天文学的であるならば、その天文学的な世界をじっくり旅してみてもいいのではないか。そんな気もする。
 
 昨年は自分の場所というものについて再考し、舞台作品にしましたが、それはやはり震災の影響を強く受けての事でした。自らの場所に立ちそこに生きるという事。自らが生まれ、生活してきた場所を失うという事。そこにある自らの身体。それらは全て、特定された場所、限定されたものとして思考し作品の中に定義されていました。また、それを複数の場所で、不特定のものが共有するという目的がありました。
 
 そして今僕が考えているのは、移動し続けるという事。特定の場所、限定されたものに捕われずにいるところから、作品を思考し構築する。やはり、それは旅する行為に似ているのかも知れません。でもあくまでそれはただの比喩であって、本当は似て非なるものなのですが。
 
 人生を旅に例える事はよくありますね。でも、それはその言葉を捉える側の考え方で、良くも悪くも一変してしまうものなのでしょう。
 
 それでも、皆さん、出来る事なら、旅をしましょう。