動き出すそれぞれの場所

 M-laboratory Works-M Vol.4「とある場所とあるからだ」という作品。
 今年の秋から来年の頭にかけて国内三都市(岡山、福岡、東京)を巡回する新作。今回は岡山のダンサーと東京のダンサーと山口のダンサーに振付するのだけど、一カ所に集まってリハーサルをする訳ではなく、それぞれのダンサーの住んでいる場所で各々のクリエイションとなるので、僕はあっちこっち行ったり来たりする事になる。けっこう大変。
 大変さで言えば今回はダンサーも大変だと思う。それぞれのダンサーがそれぞれ自分の場所で一人自分の身体と向き合うのが、今回のコンセプトでもあるので、作品の8割近くの振付をテキストで行っている。テキストは結局は単なる文字であり、文字は記号だ。記号はそれ自体には意味がないけれど、その集積によって何かしらの意味が立ち上がって来る。それはダンスのムーブメントにも言える事だ。ほんの一つの動きには意味はないけれど、その集積とダンサー自身の感覚によって、何かしらの意味が立ち上がるものだと思う。
 リハーサルを行うにあたっての「時間と空間の利便性」を求めるよりも「それぞれの質感」を重視していると言えるのかも知れないな。今回は。シンプルに自らの場所に立ち返るみたいに。