空間と環境

 たった今、R40「TIME CARVING BODY」の現場となる天神山文化プラザ第二展示室でのリハーサルを終えて帰宅したところ。
 第二展示室はその名の通り展示が行われる空間で、劇場空間ではない。そして舞台空間としてはかなりの大きさだ。非常に大きくもあり、同時に閉ざされた空間でもある。一つの身体がその空間に対峙するとその大きさが見えて来る。
 人は日常生活の中で、とある空間の巨大さを自覚するという状況におかれる事はそう多くは起こらないけれど、巨大な空間とは常に人の近くに存在している。ただ、それが巨大過ぎて認識出来ないだけなのだ。大きな空間に対しての身体のアプローチは、近代から現代にかけて、そのようにして次第に失われて来たのかも知れない。例えば、草原の中で寝転がって風に吹かれているような、あるいは、海の上でぷかぷかと浮かびながら浮力に身を委ねているような、そんな感覚は、実は日常からは失われてしまっている。
 展示室という、大きいけれど人工的であり閉ざされた空間の中で、失われてしまったそんな感覚を呼び起こす事が出来るのは、唯一、身体の持つ力でもある。
 空間に対して、どうアプローチするか。それは、自然環境も含めて私達の生きる世界の環境をどうコントロールしてゆくかという考えに基づいている。