割れた西瓜は合体する

 新作「世界は下らない会話で満ちている」の岡山リハーサルが着々と進んでいる。当ブログに前述したように、東京のリハではちひろさんの振憶えの早さに驚いたけど、岡山のリハでも同じようにかなこさんの振憶えの早さに驚かされている。どれくらい驚いているかと言うと、、、どれくらいだろ。
 今回の作品は東京と岡山という離れた場所でそれぞれ一人づつのダンサーに振付けるという、ソロ作品二つ同時進行的創作という形をとっているのだけど、そんな作り方をしていて、一つ気がついた事がある。
 村上春樹の著書に「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」という小説があるのは有名だけど、その中で計算士と呼ばれる立場にある主人公がこんな事を言っている。
 「右側の脳と左側の脳でまったく別の計算をし、最後に割れた西瓜をあわせるみたいにそのふたつを合体させるわけである。」
 この言葉は一編の小説の中に二つの世界が存在するその作品自体の構成にも当てはめる事も出来る。「世界の終わり」と「ハードボイルドワンダーランド」として。
 話をもとにもどすと、東京のリハで撮影した作品映像と、岡山のリハで撮影した作品映像を、昨日コンピューター上で二画面にして同時再生したのだけど、それはまさに、右脳と左脳の割れた西瓜合体のようであった。これは一つ、僕自身の振付創作に起きた、突然変異のような感覚である。多分、分かる人には分かる。分からない人には分からない。それでいいのだ。
 まあ、「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」、まだ読んでいない人は興味があったら読んでみて下さい。僕はこの作品結構好きです。