具体

夜でも自宅の窓を開け放つ時期になってきました。
外気が湿気とともに室内に流れ込んで、初夏の夜の香りを連れてきます。季節は巡り、また夏が来る。

今年はどんな夏になるのかな。

東京に居を移して、早いものでもう半年が経とうとしています。ある程度こちらの生活にも馴染んできて、環境の変化に伴う自分のペースの見定めも出来てきているかなとも思います。中長期的なビジョンに対して、何をするべきか、何をしないべきか。そのペース配分が大切だなと、改めて思う今日のこの頃なのです。

私のペースを支えてくれているものの一つに、毎週行われている「からだアトリエ」があるのですが、ぼちぼちアトリエの参加者による作品(習作)を一つ立ち上げてみようかなと思っています。以前から参加者の方にはお伝えしてはいたのだけど、そろそろ日程的な部分あたりから具体的にしようかと。

そう、具体的に。

ダンスによる表現は、身体による表現である以上「からだを具えて」いる訳で、それはすべからく具体的である訳です。しかしながら、具体的であるべきはずのものでありながら、内実、具体性を欠いた身体を見受ける事も多々あるように思います。その理由の一つとして挙げられるのは、ダンスは(特にコンテンポラリーダンスというジャンルにあっては)抽象的な表現方法を用いることが多いということがあるのかも知れません。ともあれ抽象性の高いダンスを踊るためには「抽象的でありながら具体的でなければいけない」という、一見矛盾しているかのような、難易度の高いものが求められる。そのような状況の中で、作品の抽象性に自らのからだが具わってこなければ、結果、具体性を欠くということになってしまう訳です。

抽象を、具体的に描く事。
からだを具えた、アブストラクトであること。
感覚が、時空から切り離されないこと。

そもそも、人間存在そのものが、その両面性のうちにあるのだからね。
からだで表現する人は、具体的抽象存在を目指すべきです。

と、いう訳で。
からだアトリエによる習作公演を、具体的にして行こうかな。。。